自然に任せていれば…数百年はかかる変化を、瞬きの間で目にしたアスカは、自分を抱いている男に訊いた。

「あなたは…本当の神様なのですか?」

「フン」

男は、鼻を鳴らし、

「神ではない。我は、王だ」

「王?」

「人間は、こう呼ぶ。魔王とな」

「魔王…」

「魔王ライとな」


ライとともに、さらに空へと上がっていくアスカは、ライの顔を見た。

「それが、あなたの名前なのですか?」

その質問に、ライは驚いた。なぜならば、それ以上訊いてくる者はいなかったからだ。

ライは笑った。

「正確には…雷空牙だ」

「ライ…クウガ」




アスカとライ…。彼等の出会いが、新しい時代の幕開けを告げる導火線となった。

しかし、その導火線に火が点くことは…まだ少し先のことになる。

それは、運命の二人が出会う瞬間。

火花を散らす戦火の中で、運命が相まみえる…その日まで。