みんなと別れ、1人下宿しているアパートに帰った九鬼は、入り口で管理人に呼び止められた。

「荷物が届いているわよ」

それは、異様に大きな箱だった。

「ありがとうございます」

管理人室に置いてあった荷物を、両手で持ち上げて、九鬼は驚いた。

異様に軽い。

両手で、持たなければいけないくらいの大きさなのにだ。

六畳一間の自分の部屋に荷物を置き、宛名を確認したが…知らない名前だった。

「洋白菜?」

人間の名前では、あり得ない。

中身ならわかるが…。

「!」

九鬼ははっとした。

「洋白菜…キャベツ!?」

急いで、荷物を開けた。

大量の丸めたわら半紙が、姿を見せた。

九鬼は腕を突っ込むと、わら半紙以外のものを探した。

キャベツ…。兜博士の別名は、マッドキャベツであった。

キャベツのような髪型をしていたから、一部の生徒からそう言われていたのだ。

狂ったキャベツと。


「!?」

九鬼の手が、固い物体を掴んだ。

大量のわら半紙が邪魔して、それが何か見えないが…その握り具合から、九鬼には想像できた。

ほとんど同じものを、九鬼は持っていたからだ。

「お、乙女ケース!?」

わら半紙の海から、手を抜いた九鬼は…眉を寄せた。

中から探しだしたものは、予想と少し…違っていたからだ。

「こ、これが…乙女シルバーのケース?」

プラチナやダイヤモンドのように、輝くケースを思い浮かべていた九鬼の手にあるのは…黒く酸化したケースだったからだ。