すると、カードは燃え上がり…灰になった。

「素敵じゃない」

沙知絵は、灰になったカードを見つめ、

「運命さえも…灰にできるなんてさ」

リンネにウィンクした。

「それは…皮肉かしら?」

リンネは、手についた灰を払った。

「違うわ」

沙知絵は、リンネの手から落ちて灰を見つめ、

「羨ましいのよ」

ぽつりと呟くように言った。

「…」

そう言った沙知絵の表情に、リンネは魅せられた。

そして、心の中で呟いた言葉を自ら否定するように、

「やっぱり…人間のやることなんて、下らないわ」

吐き捨てるように言った。

「そうね」

沙知絵は頷き、

「下らないわね」

窓ガラスの向こうに顔を向けた。

廃校の周りに、外灯もなく…ただ夜の闇が広がっていた。

外の闇を悲しげに見つめる沙知絵の横顔を見つめた後…ふっとリンネも、外の闇に目を向けた。

「!?」

その瞬間、リンネは気付いた。

窓から外は見えなかった。

ただ…窓ガラスに映る自分達しか見えない。

沙知絵の悲しげな目は、自分に向けられていたのだ。

羨ましいと下らない。

その二つの言葉に、真実があった。

だけど、今…口にしていいのは、一つだけ。

「下らないわ」

リンネの言葉に、沙知絵は目を瞑り…頷いた。

「そうね」



しばらくして、教室に灯っていた灯りも消えた。

辺りは、闇一色に包まれた。