「またね…絵里」

見送った後、明菜はテーブルにうつぶせになった。

女の勘だけど…浩一は確かに、絵里に淡い恋心を抱いていたことを感じていた。

それは、憧れに近いだろう。

だけど、今の浩一…いや、今は知らないけど、別れた時の浩一には、本当に好きな人がいたはずである。

異世界に残り、命をかけるくらいに好きな人が…。

「とっくに…諦めたはずなのに」

明菜はため息をついた。

絵里が好きと言ったから動揺して、昔のつまらないことを告げてしまった。

「駄目な…女だな」

そんな時は、自分が本当に嫌になる。

「あとで…絵里に電話しょう」

でも、わざわざ…好きな人がいるよと電話するのも、おかしい。

五年で、浩一の気持ちも変わっているかもしれないのに…。


(いや…)

それはないと、明菜は確信していた。

だから、諦めたはずなのに…。

「はあ〜」

深いため息をついて、さらに明菜は落ち込んだ。