「はい…間違いありません」
今や珍しくなりつつある公衆電話の受話器に向かって、松野彩香は話していた。
「やつらです。あたしの兄を殺した…」
兄の名は、西園寺俊弘。
「天空の女神と…赤星浩一です」
淡々とした口調で話していたが、赤星浩一の部分だけは少し憎しみが、こもっていた。
「はい…。了解しました」
彩香は受話器を置くと、そそくさとその場から離れた。
「あっ!あった!」
あまり利用者がいないはずの公衆電話。今日は、利用客が多かった。
「携帯止まってるから〜!不便よね」
彩香が使っていた公衆電話に駆け寄り、ダイヤルをプッシュした。
――プルルル…。
呼び出しているようだが、相手が出ない。
かけているのは、携帯電話のようで…もしかしたら、画面に出ている公衆電話の表示に、怪しさを感じて出ないのかもしれない。
「まったく!早く出ろよな。わかるだろ!友達なら、あたしからだと」
毎月、月初は携帯が止まっていることが多い。そのことは、友達の間では有名だった。
数秒後、電話は繋がった。
「ちょっと!九鬼!さっさと出なさいよ!」
電話の向こうの怒声に、九鬼は眼鏡を外しながら、ため息をついた。
「仕方ないだろう。今、終わったところだから…」
変身が解けた九鬼の後ろに、死体となった化け物が倒れていた。
「え!また出たの!?」
驚く声に、九鬼は歩きながらこたえた。
「そうだ。多すぎる」
路地裏を出ると、まばらだが人通りが多い。
九鬼は目を細め、
「何かの前触れかもしれない」
人通りの向こう…猛スピードで通り過ぎて行く車達を見た。
「何かって何よ!」
「それは…わからない」
九鬼は人の流れに逆らって、歩きだした。
「ところで、何の用?」
九鬼は電話をかけてきた相手に、訊いた。
「あ!あのさ!明後日提出のレポートについて…」
携帯から聞こえる声が、言い難そうに口ごもる。
九鬼はフッと笑うと、
「明日、学校で見せてあげるわ」
「ありがとう!さんきゅ〜う!」
電話の声のトーンが変わった。
今や珍しくなりつつある公衆電話の受話器に向かって、松野彩香は話していた。
「やつらです。あたしの兄を殺した…」
兄の名は、西園寺俊弘。
「天空の女神と…赤星浩一です」
淡々とした口調で話していたが、赤星浩一の部分だけは少し憎しみが、こもっていた。
「はい…。了解しました」
彩香は受話器を置くと、そそくさとその場から離れた。
「あっ!あった!」
あまり利用者がいないはずの公衆電話。今日は、利用客が多かった。
「携帯止まってるから〜!不便よね」
彩香が使っていた公衆電話に駆け寄り、ダイヤルをプッシュした。
――プルルル…。
呼び出しているようだが、相手が出ない。
かけているのは、携帯電話のようで…もしかしたら、画面に出ている公衆電話の表示に、怪しさを感じて出ないのかもしれない。
「まったく!早く出ろよな。わかるだろ!友達なら、あたしからだと」
毎月、月初は携帯が止まっていることが多い。そのことは、友達の間では有名だった。
数秒後、電話は繋がった。
「ちょっと!九鬼!さっさと出なさいよ!」
電話の向こうの怒声に、九鬼は眼鏡を外しながら、ため息をついた。
「仕方ないだろう。今、終わったところだから…」
変身が解けた九鬼の後ろに、死体となった化け物が倒れていた。
「え!また出たの!?」
驚く声に、九鬼は歩きながらこたえた。
「そうだ。多すぎる」
路地裏を出ると、まばらだが人通りが多い。
九鬼は目を細め、
「何かの前触れかもしれない」
人通りの向こう…猛スピードで通り過ぎて行く車達を見た。
「何かって何よ!」
「それは…わからない」
九鬼は人の流れに逆らって、歩きだした。
「ところで、何の用?」
九鬼は電話をかけてきた相手に、訊いた。
「あ!あのさ!明後日提出のレポートについて…」
携帯から聞こえる声が、言い難そうに口ごもる。
九鬼はフッと笑うと、
「明日、学校で見せてあげるわ」
「ありがとう!さんきゅ〜う!」
電話の声のトーンが変わった。