「な!」

絶句する緑に、リオはフフフと笑いかけると、

「さすがは、中小路家の長女!日本地区を代表するハンターの1人娘ね」

二本の指で、刃先をつまんだ。

「大した武器に…大した度胸だわ」

「き、貴様!刀を離せ!」

踞っていた高坂が、下からリオの足を掴んだ。

「この口だけ男とは、違う!」

リオは簡単に、高坂の腕を振りほどいた。

「そうねえ」

高坂の頭を、神流が踏みつけ、

「彼女なら〜立派な月影になれるんじゃないの?」

緑に微笑みかけた。

「誰が、なるか!」

何とか刀を、指先から抜こうと力を込めるが、ビクともしない。

「無駄なことを!」

「え!」

突然、緑の全身が硬直した。 まったく動かなくなった。

「こいつの体は、あたしが貰う!」

倒れていたカルマが立ち上がり、緑に向かって両手を広げていた。

「サイコキネッシスか…」

頭を踏みつけられながらも、必死にもがく高坂。

「誰が貰うかは、あとでみんなで決めるのよ」

リオが軽く、カルマを睨んだ。

「ゆ、許さない!」

頭が真っ二つになりながらも、梨絵は立ち上がり、緑に向かって、後ろから手を伸ばし…首を締める。

「うぐぅ」

動けない緑の顔が、真っ青になっていく。

「あなたも、諦めて…死になさい。さっきの男のようにね」

神流はどこからか取りだしたものを、高坂の顔の近くに落とした。

「これは!」

床に転がったのは、服部が持っていたトンファーだった。

「人間にしては、まあまあだったわ」

満足気に指先を、舐める神流に、高坂はキレた。

「き、貴様が!服部を!」

顔を真っ赤にして、起き上がろうとするが、びくともしない。

「非力な男…」

神流は肩をすくめると、指先を下に向けた。

「死になさい」

鋭い爪が、背中から心臓を突き刺そうとした瞬間、廊下の窓ガラスが割れ…黒い風が飛び込んで来た。。

「ルナティックキック!」

それは、乙女ブラック九鬼真弓。