「貴様?先輩の対しての言葉使いではないわね」

振り返った如月の前に立つのは、ユウリとアイリ。

「なんの用だ?」

アイリの言葉に、如月は呼吸を整えながら訊いた。

「単刀直入に訊くわ。あなた達、人間ではないわね」

「何?」

如月の言葉に、キレそうになるアイリを手を横に伸ばして、ユウリが制した。

そして、ユウリは如月に聞き返した。

「だとしたら、何?」

「簡単なことよ」

如月は両手の指を広げると、中腰の体勢になった。

ユウリを睨み付け、

「この学園に潜入した目的を話し貰おうかしら?」


「面白い!」

ユウリは一歩前に出た。

「やはり、この世界の人間は、面白い!」

嬉しそうに笑うと、ユウリの体が変わる。

「ち、ちょっと待て!ことを荒立てるなと、リンネ様に言われているだろが!」

慌てて止めようとアイリ。

「心配するな。ここは、人目につかない。それに…一瞬で終わる」

炎そのものと化したユウリは、如月に向かって叫んだ。

「さあ!やろうか!愚かなる人間よ」

「は!」

如月は、気合いを入れた。

「うん?」

ユウリとアイリは、眉を寄せた。

いつのまにか、如月の体がはるか後ろに下がっていたからだ。

そして、その手には写真があった。

「スクープ頂き!転校生は、炎の魔神!」

と叫ぶと、回れ右をして…全力で走り出した。


「?」

唖然とするユウリとアイリ。

しばらくして、ユウリの体が燃え上がった。

「あの女!なめやがって!」

大月学園に、火柱が上がった。

「殺す」

一瞬の爆発で、冷静を取り戻したユウリは、冷たい目で前を睨んだ後、ゆっくりと走り出した。

「ユ、ユウリ…」

舐められたことは許せないが、このまま暴れていいのか…わからなくなったアイリが狼狽えていると、

「行くぞ!」

ユウリがギロリと、アイリを睨んだ。

髪型以外、同じ顔なのに…アイリは怯えてしまった。

「は、はい!」

2人の魔神も、体育館裏を後にした。