「機嫌直してよ」

リンネの言葉にも、美亜は足を止めない。

肩をすくめるリンネ。

しかし、屋上から出る前に、美亜はリンネを見ずに言った。

「お前の言う雑魚の半身は、違う。少なくても…雑魚ではない」

「そうかしら?すれ違ったけど、大したことは…」

リンネは途中で、言葉を止めた。

なぜならば…美亜の背中は笑っていたからだ。

「それがわからないか…」

美亜は扉を開け、屋上から消えた。

「な!」

馬鹿にしたような美亜の言葉に、リンネは表情は変えなかったが、そばにあるフェンスの一部が解けた。


しばらく佇んでから、リンネは髪をかきあげた。

「どいつもこいつも…」

なぜか…フレアの顔が、脳裏に浮かんだ。

赤星の為に死んでも、笑っているフレアが…自分を見る時だけ、悲しげな顔をしている。

「どうしてだ…」

リンネは、美亜が閉めた扉を睨んだ。