「ここで、何をしてるのかしら?」

特別校舎の屋上でフェンスにもたれ、佇んでいた美亜の後ろに、リンネが現れた。

「フン!」

美亜は鼻を鳴らし、

「それは、こっちの台詞だ。雑魚をよこしたと思ったら、今度は親が来たか」

「あら?悪いかしら…ここは、少し変わったところだから、興味があっただけよ」

妖しい笑みを浮かべるリンネに、美亜は顔を向けない。

リンネは間合いを開けて、立ち止まった。

「怖いわね。これ以上近寄ったら、何されるか…わからないわ」

「決着をつけても、いいぜ」

美亜の髪が、ブロンドに変わった。そして、眼鏡を取ると…背丈も変わる。

リンネは肩をすくめ、

「別にいいけど…この辺りは軽く消滅するけど」

「それは…まだ早い」

眼鏡をかけると、もとの美亜に戻った。

リンネは少し距離を開けて、フェンスに近づいた。


「ムジカに用があるのか?」

美亜がきいた。

「ご冗談を」

リンネは苦笑し、

「確かに、あいつの能力は少し厄介だけど…所詮、旧タイプの女神よ」

「だったら、なぜだ?」

美亜は、リンネを横目で睨んだ。

「あたし達がもっとも警戒してるのは、あなたと彼よ」

リンネは、美亜に微笑みかけた。

「…」

美亜は無言になった。

「ムジカの妹であるデスパラードと組んでみたけど…所詮、雑魚だった。がっかりしたわ」

リンネはフェンスにもたれ、

「組むんだったら…今度はあなたにするわ」

笑いかけた。

「何を言うかと…思えば」

美亜も笑った。

「いいアイデアじゃないかしら」

とリンネが言った瞬間、美亜の蹴りが放たれた。

「危ないなね」

炎となったリンネの体を、蹴りが通り過ぎた。

「フン!」

美亜は足が床につくとすぐに、扉に向って歩き出した。