次の日。

まだ襲撃の余韻が残る大月学園に、衝撃が走った。

学園に、絶世の美女が現れたのだ。

今までの分厚い眼鏡を捨て、コンタクトに変えたのか。

突然現れた美女に、学園は騒然となった。

「誰だ?」

男子生徒達が、色めきあう。

その騒動は、ユウリとアイリの時を超えていた。


そして、また生徒がざわめいた。

大胆に胸元を開け、体のラインを強調する服を身につけた女教師が、別方向から来たからだ。

二人は、廊下でぶつかった。

「あらあ?阿藤さん。眼鏡をやめたのね」

女教師の阿藤と言った名前に、男子生徒以上に女生徒から驚きの声が上がった。

「あ、阿藤さん!」

「嘘!」

そんな生徒の驚きの中、美亜は微笑みながら、女教師にきいた。

「先生こそ…イメチェンですか?体全体を?」

「…フッ」

女教師は、リンネだった。


しばし無言で見つめ合った後、二人はすれ違った。

もう互いを見ることはない。


その様子を、二人が見つめあった場所の真横で見ていた輝は、悔しそうに呟いた。

「俺だけが気づいた美しさが!大衆にさらされた!」


そして、教室で席につきながら、浩也は去っていく美亜を見つめていた。

「どうかしたか?」

廊下の騒動に興味がないカレンは欠伸をした後、浩也の視線に気づいた。

「何でもありません」

慌てて視線を外した浩也に、カレンは首を傾げた。


浩也はカレンから見えないように、胸を押さえた。

(どうしてだろ…。胸がざわめく)

その理由は、今の浩也ではわかるはずがなかった。