「やはり!やつは、赤星浩一!」

アイリは興奮していた。自然と笑いが出た。

「アハハハ!だが、やつの力は!王を名乗るには、貧弱!」

アイリは、ユウリの手を掴んで払いのけようとする。

「今なら、我らでも殺せる!」

浩也のもとに行こうとするが、ユウリが行かさない。

アイリの手を掴み、力を込めていた。

「行くな」

ユウリは横目で、アイリを睨んだ。

「どうしてだ!魔王の封印が解け、完全体に戻ってしまえば…我らでは、勝てんぞ」

「忘れたか!お前は!」

ユウリは、顔をアイリに向けた。

あまりにも激しい怒りの形相に、アイリは怯んだ。

「やつを殺すのは、我らが主!リンネ様だ!」

「う!」

その言葉に、アイリはユウリを避けようとしていた力を緩めた。

「どうするかは、リンネ様が決められる!まずは、ご報告しなければ」

「わかった」

アイリも頷いた。

もう…これ以上は、わがままを言うことはできなかった。

ユウリとアイリはその場から、歩き出した。


「うん?」

カレンは振り返った。

廊下を静かに歩いていくユウリとアイリの後ろ姿を、数秒見送ってしまった。


「認めんぞ!」

カレンが視線をユウリ達に向けている時、中西はわなわなと全身を震わすと、廊下から飛び降りた。

「装着!」

空中で、乙女ブラックになった中西は、地面に着地すると、浩也を指差した。

「真弓を助けるのも!抱き締めるのも!俺だけの特権だ!」

拳を握りしめると、浩也に向かって、ジャンプした。

「その汚い腕から、真弓を解放しろ!」

そして、パンチを叩き込もうとした。