「何事だ」

各教室の中まで襲いかかって来た乙女ブラック…いや、乙女グレーの群れが、一瞬で燃え上がった。

眼鏡さえも溶ける程の熱を放ったのは、ユウリとアイリだった。

突然の襲撃に、教室の隅に逃げるしかできなかった生徒達は、ユウリとアイリの背中に感嘆の声を上げた。

「凄い…」

その言葉に、アイリは振り返り、

「虫けら以下が」

と呟いた。

「構うな。行くぞ」

ユウリは生徒達を見ることなく、廊下に出た。


2人の斜め前に、カレンと中西…浩也がいた。

「赤の王!」

浩也に近づこうとするアイリを、ユウリは腕を横に伸ばして遮った。

「ユウリ!?」

「我らの任務は、あくまでも…赤の王の確認。やつが、本当に赤星浩一であるのかを確かめること」

ユウリは、赤星の背中を凝視した。



「浩也!何をする気だ?」

カレンは、怪鳥を見上げる浩也の瞳に…恐ろしい程の強い力を感じていた。


「貴様!」

中西は乙女ケースを握りしめる手で、浩也を指差した。

「あいつを助けるのは、俺の役目だ!」

そう言って、近づこうとした瞬間、中西の鼻先を回転する2つの物体が通り過ぎた。

「チェンジ・ザ・ハート!」

驚くカレンが、チェンジ・ザ・ハートの軌跡を目で追った。

浩也が腕を横に突きだすと、チェンジ・ザ・ハートはその手元で合体した。

巨大な砲台のようなライフルが、浩也の手に握られる。


「銃になった!」

アイリは思わず声を上げた。

「バスターモード…」

ユウリはニヤリと笑った。

「間違いない!あれは、赤星浩一だけの特別モード!」



浩也は、ライフルを一回転させると、銃口を怪鳥に向けた。

「やつは、やはり!赤の王!」

ユウリの確信と同時に、浩也は引き金を引いた。