「うん?誰だ」

去っていく美亜の後ろ姿を見つめながら、カレンは首を傾げた。

「さあ…」

浩也も、美亜の後ろ姿を見つめていた。

「でも…」

「うん?」

カレンは、浩也の横顔を見た。

「綺麗な人だ」



「…」

その言葉に、カレンは何も言えなくなった。

普段なら、突っ込むところだが…浩也の切なげな目に、何も言えなくなった。


(一体…誰だ?)

人類の希望となる浩也に、こんな目をさせる女。

カレンは、妙な胸騒ぎがした。

この出会いが、すべてを変えるような…そんな予感。

そして、その予感に対しては…自分は何もできないと、心の底が告げていた。

「く!」

カレンは無理矢理顔をしかめると、いつまでも美亜が去った方を見つめている浩也の頬っぺたをつねった。

「教室に戻るぞ!」

そのまま、浩也を校舎の中まで引きずっていった。