「改めて…転校生を紹介します」

教壇に立つ女教師の隣に立つのは、ユウリとアイリ。


「どうやら…」

「デスパラードと赤の王とは、違うところのようだな」

目だけを動かし、生徒達の気を探るユウリとアイリは、無表情ながらもため息をついた。

「大した人間はいないな…。今、襲いかかっても数秒で、灰にできそうだな」

「アイリ、やめておくのよ。誇り高き炎の騎士団長の側近である我々が、潜入中に人間の餓鬼を皆殺しにしたなど…笑い話にもならない」

ユウリの注意に、アイリは頷くことなく、わかっていると答えた。




「遅れたぜ」

その時、ユウリとアイリのそばの扉が突然開いた。

「いや、違うな」

頭をかきながら、教室にゆっくりと入ってきたのは、茶髪の男子生徒だった。

「俺的には、ちょうど良い時間だ!」

男子生徒は両手を広げると、右手の人差し指を立て、席についている生徒達を指差し、

「お前達とは、違うからな!」

顎を突き上げながら、見下すように言った。


「何だ?この馬鹿は」

一番そばに立つアイリが、男子生徒を睨んだ。

ユウリはちらっと一瞥すると、

「人間だけの集まりだ。こういう馬鹿もできるんだろ」

すぐに無表情で、前を向いた。

「おい、お〜い。どうしたんだい?」

男子生徒は、教室にいる生徒達がまったく目を合わせないことに気付いた。

「未来のスターをこんな間近に見れるのに〜い」

一番前の席についている女生徒に近づき、

「今は、タダだぜ」

身を屈めると、ウィンクをした。

それでも反応がないことに、男子生徒は驚いた。

「馬鹿な!どうして、俺に注目しなあい!」

頭を抱え、嘆くポーズを取ってから…男子生徒ははっと気付いた。

後ろを振り向き、教壇の横に立つユウリとアイリを見た。

「ま、まさか…転校生か」

ユウリとアイリを交互に見て、また嘆きのポーズを取った。

「転校生!1日だけのスターがいたのか!」

そして、絶叫した。