「ああ〜あ」

残念そうに、とぼとぼと教室に戻っていく男子生徒達に紛れて、美亜が歩いていた。

口許に、うっすらと笑みを浮かべながら…。


去っていく生徒を見送った後、九鬼はため息をつくと、ユウリとアイリの方を向いた。

「あなた達には、何か制服の変わりになるものを用意…!?」

2人の姿を見た九鬼は、目を丸くした。

カーテンを脱いだユウリとアイリは、さっきの制服姿に戻っていた。

驚く九鬼に、アイリが無表情のまま、折り畳んだカーテンを差し出した。

「よくは、わからんが…お前に、借りができたようだな」

「成る程…人間のオスは、メスの裸に興味があるのか」

ユウリは、自らのスカートの裾を摘まみ、

「どおりで…。自ら発火できない人間が、寒さから守る為に着ていると思っていたが…」

「こんな下の開いた…意味のない布をつけてるのか…」

アイリはスカートを捲り上げ、

「オスを釣るために、あるのだな」

納得していた。

「!?」

カーテンを受け取った九鬼は、また絶句した。

2人は、パンツをはいていなかったのだ。

「まあ…いいわ。そんなことは」

2人はスカートを戻すと、歩き出した。

「騒がしたな」

ユウリとアイリは、九鬼の横を通り過ぎる時、微笑みかけた。

そして、最後にこう言った。

「デスパラードよ」



「な!」

九鬼は慌てて、振り向いた。

今度は、普通の速度で歩いていくユウリとアイリに…九鬼は戦慄を覚えていた。

「何者だ?」

今の言葉で確信した。

2人は只者でないと。


誰もいなくなった廊下で、九鬼が拳を握り締めていた。

そして、新たな戦いの予感に震えた。