あまりの迫力に、ジャスティンは息を飲んだ。

サラは、ジャスティンを横目で睨んだまま、

「闇の女神は、力を半分失い…残りの半分も使うことができない。月の女神は、転生を繰り返し、力を与え過ぎた。女神本来の力は、失われている」

「ならば!もう1人の女神は!」

「やつは単なる餓鬼。それに、魔力だけを比較すれば…我以下だ」

「仮にも、女神が!魔神より下だと!?」

ジャスティンの戸惑いに、サラは眉を寄せた。

「貴様は、天災と同じ力を持たれていた…ネーナ様、マリー様。そして、アルテミア様と同レベルだと思っているのか?」

素直に頷いたジャスティンに、サラはため息をつき、

「この世界そのものを破壊する力を与えられた3人の女神と、原資元始の魔王に人間と魔物を統治する為につくられたあやつらと、存在レベルが違い過ぎるわ!」

サラは一喝すると、前を向いた。

「せいぜい…下級の魔神と同レベルだろう」


「そうなのか…」

少し考え込んでしまったジャスティンは、消えようとするサラに気付き、慌てて止めた。

「ま、待て!」

「まだ…何かききたいのか?」

巨大な蝙蝠の羽を広げようとしたサラは、羽をしまった。

「知りたいんだ」

ジャスティンは、前に一歩出て、サラに近付いた。

「うん?」

鋭い殺気を感じて、サラは振り返った。

「人如きが…どこまでやれるか」

闘気を身に纏ったジャスティンを見て、サラは口元を緩めると、体を反転させた。

「珍しいな。お前が、このように力を解放するとはな」

「折角だ。俺と戦ってくれないか?」

「素手でか?魔力も使わずに」

「ああ」

頷いたジャスティンに、サラは顔をしかめた。

「舐められた…いや、違うな!これが、貴様の本気か」

「そうだ」

ジャスティンは構えた。

「なるほど…」

サラは拳を突きだし、

「貴様が、本気ならば…我も全力を出さねばならぬな」

「頼んだぞ!」

ジャスティンは、焼けた土を蹴り、雑草を飛び越えた。

「うおおっ!」

雄叫びを上げて、ジャスティンから仕掛けていった。