クラークはそう言うと、ジャスティンに背を向けた。

(今の言葉は、忘れろ。生きる気力がない者には、無意味だ)

(クラーク)

(だが、これだけは忘れるな。先輩は単に、殺されたんじゃない。人の礎になったんだ)

クラークは振り向き、

(どうせ死ぬ気ならば、せめて先輩のいた地点を越えてみろ。そうすれば、己の生き方が見えるはずだ)

(クラーク…)

(ティアナ先輩が、俺のような特種な人間だけでなく、どうしてお前のような普通の人間を、いつも前線に連れて行ったかわかるか?)

クラークの問いかけに、ジャスティンは首を横に振った。

(それは、お前が…先輩をこえる戦士になる可能性があったからだ)

クラークは、顔を前に向けた。

(人類を導け!ジャスティン!お前が、その気ならば…俺は、魔獣因子などに頼りはしなかった…)


クラークはもう振り返ることなく、ジャスティンから離れていく。

(クラーク!)

手を伸ばし、追いかけても…決して、追いつくことはなかった。



(そうか…)

ジャスティンは、意識を外の世界に戻した。

目の前に立つサラが、自分と重なった。

(この者もまた…)


ジャスティンの思いに気付いたのか…サラははっとして、顔を上げると、突然背を向けた。

「邪魔したな」

その場から去ろうとするサラに慌てて、ジャスティンは告げた。

「もう1つの!アルテミアの行方と!さらに…新たな不穏な動きに関しては!」

ジャスティンの叫びに、サラは足を止め、振り返ることなしに、

「アルテミア様がいるところは、簡単だ。その男が、あやつならな!それと、もう1つ…目覚めたやつだが」

そこまで言って、サラは鼻で笑った。

「問題外だ」

「な!」

驚くジャスティンを、サラはあざけた。

「あんなやつらより、貴様の方が骨があるわ」

「馬鹿な!仮にも、女神だぞ」

「それが、どうした?」

ここで、サラは横顔を向けた。