次の日…というか、朝日が昇り、1日が始まった。


大月学園に、転校して来た赤星浩也。

さらに、復学した山本可憐を加えて、授業は平常通りに行われた。

刹那の件は、転校したとすまされた。

アマテラスの消滅とともに、亜空間に放置されていた生徒達の死体が、廊下に現れたが、生徒達が登校する前に、九鬼達によって他に移された。


「今回の事件も内密に、処理したわ」

大月学園の地下一階にある理事長室に、九鬼はいた。

「ありがとうございます」

目の前にある質素な机の向こうで、椅子に座りながら、頭を下げる九鬼に頷いたのは…この学校の理事長である。

「お礼ならいいのよ。あなたには、この学園を助けて貰った恩があるのだから」

理事長は九鬼に向かって、微笑んだ。

新たなる防衛軍を編成する為に、闇に魅せられた結城哲也の暴走は、学園の生徒達を巻き込み、周りの人々も生け贄にしょうとした。

それは、闇の女神と月の女神と、人の欲望が入り乱れた結果だった。

「いえ…あたしは、何もしていません」

九鬼は、首を横に振った。

人々を生け贄にして、時空間に壁を空ける為につくられた巨大ロボを、九鬼は破壊することができなかった。

九鬼の脳裏に、ガンスロンを一撃で倒し…闇の女神を吸収したアルテミアの姿が、よみがえる。


肩を落とす九鬼に、理事長は言った。

「そんなことはありません。あなたがいなければ、もっと被害は大きかったはずです。周囲の復興も、こんなに早くはなかったでしょう」

理事長の言葉も、九鬼には慰めにしか聞こえなかった。

理事長はため息をつくと、椅子から立ち上がった。

「それに…。彼らに幽閉されていた私が、再び理事長に返り咲けたのも…あなたのおかげです」

理事長は机を回ると、九鬼の横に来て、肩に手をのせた。

「黒谷理事長…」