「ジャスティン!」

「同じ痛みを知る者同士だから…せめて、この体が砕けてもいいから…ライに伝えたかった…。今のお前を見たら…先輩は悲しむと…」

「何言ってるの?」

カレンには、ジャスティンの言葉の意味がわからなかった。

「だけど…恐らく大丈夫だ」

ジャスティンは目を瞑った。

「先輩の意志は…彼らが継いでくれている…」

「ジャスティン?」

カレンの膝の上で、ジャスティンは眠りについた。

魔界に入ってから、寝ずに戦い続けた緊張感が解けたのだ。

戦士のしばしの休息。

「…」

カレンは、そんなジャスティンの髪をそっと撫でてあげた。






「うおお!」

僕はライトニングソードを、振り回す。

「くっ!」

ライの指先が光り、ライトニングソードを受け流す。

しかし、あまりの猛攻にライはじわじわと後退っていく。

「お、お前は何の為に、戦っている!」

ライの質問に、僕は即答した。

「すべてだ!」

「すべてだと!?」

「ああ!僕の知るすべてのものを守りたい!」

「できるものか!」

ライは、ライトニングソードを弾き返した。

後ろによろめく僕の動きが止まった。

「できるか、できないじゃない!その気持ちが、僕を前に押してくれる」

僕はライトニングソードを握り締めると、シャイニングソードに変えようとした。

その時、奇跡は起こった。

目映い光が、ライトニングソードから放たれ、玉座の間を照らした。

「な」

ライは目を見開いたまま、息を止めた。

「あああ…」

僕も驚きの声を上げた。

「あなたは!」

その後ろ姿を初めて見たが、なぜか僕は知っているように感じた。

何処と無くアルテミアに似ているからだろうか。

背中まであるブロンドの髪。そして、全身を包む…白い鎧。

「赤星君…。貴方がライを殺してはいけないわ」

ブロンドの髪の女の人はそう言うと、軽く振り向いた。

「え」

その優しい微笑みに、僕は思わず見とれてしまった。

「アルテミアをよろしくね」

女の人は微笑みながら、前を向いた。