サラは手刀に力を込めたが、ジャスティンはびくともしない。

「苛立ちの原因は、わからないが…」

ジャスティンの全身に力を込めた。

「なめるな!」

ジャスティンの蹴りが、サラを引き離した。

「く!」

珍しく顔をしかめるサラ。

「サラ…」

立ち上がったギラは、2人の戦いを見守っていた。

「一気に…終わらせてもらうぞ」

ジャスティンが改めて、構え直した時…異変は起こった。

「!?」

突然、世界が真っ暗になったのだ。

一瞬で、地球そのものを覆った雷雲は、世界から青空をなくした。

「お、王よ!」

空を見上げたギラが、嘆きの声を発した。




「雷雲は、この星を包み!尽きることなく、雷を降らす!」

ライはにやりと笑い、

「今から、この星は地獄と化す」

僕を見た。

「どうする?赤の王よ」

「させるか!」

襲いかかろうとする僕に、ライは言葉を続けた。

「無駄だ!雷雲は、我の意識から外れ、勝手に雷を降らす!」

僕がライに向かって飛んだ時、玉座の間を外からの光が照らした。

雷が、世界中のあらゆるところに落ち始めたのだ。

「どうする?赤の王よ」

ライは、僕の攻撃を避ける。

長引けば長引く程、被害は広がる。

事実、復興し始めていたアメリカの都市部に落ちた雷は、人々の住居を直撃し、燃やした。

結界を張ったとしても、ライの雷撃と同じ威力がある為に、ほとんど意味がなかった。

四国に構えていた防衛軍本部も、雷の直撃を受けていた。

「この雷を防ぐ手立ては、我々にはありません」

あまりにもレベルの違う攻撃力に、防衛軍ですら防ぐこともできなかった。

部下の報告に、副司令は窓から外を見つめながら、口を開いた。

「各地の地下シェルターに、できるかぎりの民衆を避難させろ。地上よりはましだろう」

窓の外では、まるでしだれのように、雷が落ちていた。

「我々防衛軍は、民衆が助かるまではシェルターに入るな!結界をできる限り、力を合わせて分厚く張れ」

「は!」