「人間は、前になど進まない!痛みを覚えれば、すぐに後ろに下がる!」

「すべての人間がそうじゃない!だけどな!」

一瞬で間合いをつめたアルテミアの蹴りが、リンネに炸裂した。

「クッ」

今度は、リンネがふっ飛んだ。

「それでもいい。そんな人間がいるということが、大事なんだ」

アルテミアの姿が再び、変わった。

黒のボンテージ姿のストロングモードに。

「そう…」

アルテミアは、拳を握りしめた。

「あたしは…」

アルテミアの脳裏に、ティアナ・アートウッドの姿がよみがえる。

「お母様が特別だと思っていた」

そして、まだ人間だった頃の赤星浩一がボロボロになりなからも、2人の女神と戦う姿も思い出した。

「人間は皆…可能性を持っている!」

「何が言いたい!」

リンネも拳を握り締めた。

「あたしは!」

アルテミアは地面を蹴ると、リンネに殴りかかった。

リンネの拳とアルテミアの拳が、重なった。

「ティアナ・アートウッドの娘!いや、人間から生まれたことに誇りを持つ!」

「な!」

リンネの拳が弾かれた。

バランスを崩し、背中から転けようとするリンネは、全身を炎に変えた。大きさが数倍になったリンネは、転けることを防いだ。

「こ、この強さは何!?」

リンネは驚愕していた。人間の肉体をベースにして、モード・チェンジをしてるのに、最上位の魔神である自分を圧倒していた。

「あたし自身の成長だ。他人から力を奪わなくても、成長で強くなれる。それが、人間なんだ」

アルテミアは、モード・チェンジを解いた。

すると、全裸に戻ったが、使い切ったはずのプロトタイプブラックカードを発動させた。

すると、服が召喚された。

「な」

リンネは目を見張った。

「カードシステムは、破壊した。しかし、それはポイントとなった魔力を独り占めしょうとする人間がいて、不平等なプログラムが構築されていたからだ。お母様がつくったシステムをいじってな」

アルテミアは、カードを胸元にしまった。

「そのプログラムを排除し、二度と変えれないようにした。世界を分断する結界のようにな」