どんなに望んでも、自分には未だに理解できない感情。

それを妹とアルテミアは、知っているのだ。

リンネの敗北感は、怒りに変わった。

(お、お前達は!)

リンネの炎が、燃え上がる。

しかし、リンネは知らない。

愛に悩み、嫉妬する己自身が、愛を知っていることに。

愛は幸せだけではない。悩み、苦しむことも愛なのだ。

しかし、リンネと2人には、決定的な違いがあった。

相手がいること。

愛は、相手がいて初めて…わかるのだ。

自分が苦しい程…愛していることに。


「フン。場所を変えましょう」

リンネは向日葵畑から、戦いの場を変えることを提案した。

自ら焼いてしまったが、すべてを焼き払えば…ライが悲しむと、リンネは心の底で思ってしまった。

「当たり前だ!」

アルテミアは、リンネの後ろにできた道を見ながら、怒りを露にした。

「行くわよ!」

2人は一瞬で、向日葵畑からかつて、防衛軍が全滅した草原に移動した。

地面につくと同時に、2人は無言で攻撃を仕掛けた。

その瞬間、2人がぶつかった衝撃波が、城の周辺の空気を震わした。


「始まったか…」

城に戻っていたカイオウは、渡り廊下の花壇の前で、座禅を組み、静かに時を待つことにした。