「ま、まさか…天空の女神がまた…」

藤堂は震えながら、頭を抱え、

「最近は…話を聞かなかったから…安心していたが…ま、まさか!」

青ざめた藤堂の姿に、通信室に緊張が走った。




「フン」

海の底に沈んでいく島を見ている者は、もう1人いた…。

玉座の間で1人佇む…ライであった。

「やりよるわ」

ライがフッと笑うと、赤く光っていた瞳が消えた。

「しかし…これで終わりではない」

すると、ライの前に…男と女がいつのまにか…立っていた。

「ここは!?」

女はキョロキョロと周りを確認して、すぐにライに気付いた。

「か、神よ!」

女が驚いた時には、男は跪いていた。

「…」

ライはしばし、無言で2人を見つめた。

「も、申し訳ございません!」

女は頭を抱えた後…はっとして、自らの失態を思い出し、慌てて跪いた。

「次は…死ぬな」

ライがぽつりと呟くように言うと、2人は玉座の間から消えた。強制的に、テレポートさせられたのだ。

「そうだ…。あんな存在がいい。何度死んでも、造れる。記憶も植え付ければいい」

ライは、にやりと笑った。

そんなライの瞳から、一筋の涙が流れた。

「何度も造れる…。失ってもな」

そして、ゆっくりと瞼を閉じると…ライは意識を底に埋めた。



「は、はくしゅん!」

再びくしゃみをしたアルテミアを心配して、僕が訊いた。

「風邪でも引いたの?」

その言葉に、アルテミアは鼻で笑った。

「女神が、風邪など引くか!恐らく、あたしの美しさに誰かが、噂してるんだよ」

「そ、それは…」

ないと言いかけて、僕は言葉を変えた。

「その通りだよ!」

アルテミアとの付き合いも長い。これくらいの返しはできる。

しかし、アルテミアの反応は違った。

「嘘つけ!てめえ〜!心にもないことを言いやがって!」

「…」

軽くキレられて、僕は無言になった。

確かにそうだが…ここで、何か言ったらさらに怒られる。