「アルテミア…」

僕は、斬り裂かれていく人間もどきを見ながら、悲しい気持ちになっていた。

確かに化け物であるが…あまりにも精巧にできている為に、斬り裂いて見える断面図は人間と同じであった。

「きぇぇ!」

死んでいく仲間を見てか…先程苦しそうな顔をした女もどきが、アルテミアに顔を向けながら、奇声を発した。

「うん?」

アルテミアはその女もどきに気付き、ライトニングソードを向けた。

女もどきの腹はまた大きくなっており、子供を産もうとした次の瞬間……お腹が破裂した。

「くえええ!」

女もどきは天を仰ぎながら、絶命した。

「な!」

驚くアルテミアのライトニングソードを握る手に、嫌な汗が滲んだ。

破裂したのは、その女もどきだけではなかった。

次々に、同じような現象が起こり、女もどき達はほぼ同時に死んだ。

「な、何が起こった」

アルテミアは回りを警戒しながら、ライトニングソードを構え直した。

つい数秒前の喧騒が嘘のように、周囲を静けさが包んでいた。

逃げる普通の人間達の気配もしない。

「アルテミア…」

そんな静けさの中、僕はアルテミアに話しかけた。

「多分…産み過ぎだ。体がついていけなかったんだ」

「多分…そうだろうな」

アルテミアも納得はしていた。しかし、警戒を解かない。

「どうした…!?」

アルテミアの様子に首を傾げようとした僕も、何かに気付いた。

「た、助けて…」

後ろから、蚊の鳴くような声がした。

アルテミアが振り返ると、普通の人間の女の人がいた。

その女の人も腹が膨れていた。妊婦と思ったが、違った。

先程の人間もどきのように、腹が破裂して絶命したからだ。

「やっぱり〜旧タイプの人間は駄目ね」

女の人のお腹から放たれた血吹雪の向こうから、ゆっくりと近付いて来る三つの影。

「何だ?この気は!?」

アルテミアは、絶命した女の人を踏みつけながらにこっと笑った女に、目を細めた。