「一体…どうなっているんだ?島民達は?」

アルテミアの一振りで、肉片になった男女を見て、僕は人間でないと確信した。

なぜならば、粉々になった肉片が蠢いているのだ。

「うん?」

アルテミアは、建物が建ち並ぶ迷路のような町の奥に目をやった。

そこにまだ、数人の男女がいたからだ。

「…」

アルテミアと僕も、さっきの反応から…肉片に群がると思っていた。

しかし、結果は違った。

突然、男女で絡み出したのだ。

「え!」
「は?」

目を見開く僕と違い、アルテミアは思い切り嫌な顔をした。

次の瞬間、女達のお腹が大きくなり…子供を産み落とした。

そして、その子供はじっとアルテミアを見つめながら、分裂すると…数多くの短髪アルテミアになった。

勿論…全裸の。

「あわわっ」

言葉が出ずに狼狽える僕と違い、アルテミアは舌打ちすると、槍を脇に挟んだ。

「赤星!」

「はい!」

怒気がこもった声に、思わず僕は声を荒げた。

「…後で殺す」

小声でそう言うと、アルテミアは腰を屈めた。

槍が電気を帯び、風が集束されていく。

「ア、アルテミア!」

びびっている暇はなかった。アルテミアがやろうとしていることに気付き、驚いた。

「心配するな!島には、こいつらしかいない!人間はいない!」

「きええ!」

アルテミアの姿になった女が、襲いかかってきた。

「あたしの姿で、変な声を出すな!」

アルテミアは、女の攻撃を敢えて、右肩で受けた。

女の拳から伝わる衝撃に、アルテミアは顔をしかめた。

「こ、こいつら!」

アルテミアはパンチを受けながら、腰を捻り…槍を振るった。

「A Blow Of Goddess!」

女神の一撃が放たれた。

雷鳴が竜巻を伴い、爆発した。そして、かまいちがすべてを切り裂いた。

美しき観光地だった島は一瞬で、更地になった。

「ひぇ〜」

僕はその惨状を見て、取り返しのつかないことになったことを嘆いた。

そして、アルテミアの怒りにも怯えていた。