「あなた様のお力を!我々人類の為に!」

「…」

戦士達の願いを聞きながら、ジャスティンはかつての防衛軍の設立時を思い出していた。

あの時、まだ十代だったティアナ・アートウッドを防衛軍はトップに添えようとしていた。

しかし、ティアナは断った。その直後、ライと結ばれたことで結局、彼女は人類の旗印になることはなかった。

いや、知っている者は知っている。

ティアナがどれ程…人類の為に尽くしたのかを。

ジャスティンは、戦士達を見つめながら、フッと笑った。

その笑みは、頭を下げている戦士達からは見えなかった。

(ただ…ここまで、生き残っただけの俺が、トップに立つのか?)

それが、おかしかったのだ。

人を率いるのは、クラークが似合っていた。

(しかし…俺程度の客寄せパンダが、人類を団結させる為の礎になるならば…)

そこまで考えてから、ジャスティンは戦士達に告げた。

「新たな防衛軍。その結成には、賛同します。しかし、組織が巨大ならば、絶対に腐敗する部分が出てきます。かつての防衛軍のように」

「そ、それは…」

1人の戦士が口ごもったが、一番前にいる戦士がすぐに口を開いた。

「確かに、汚職や腐敗…負の部分も出てくるでしょうが!それでも、人は群れなければ生きていけない生き物なのです」

と言うと、先頭の戦士は顔を上げ、ジャスティンの目を見た。

その目の強さに、ジャスティンは頷いた。

もし、腐敗した部分が出たならば、膿はすぐに取る。戦士の目は、そう語っていた。

(すべて…覚悟の上か)

ジャスティンは目を閉じた。安定者だった時、自分はそのような決意があっただろうか。

ジャスティンは、戦士達を見回した。

ほとんどが、二十代であろう。

(若者を導くのは、俺の役目か)

ジャスティンは、自分に苦笑した。何をえらそうに考えているのかと。

その笑みの理由がわからない戦士達だが、ジャスティンの 雰囲気が変わったことには気付いていた。

「お受けしましょう」

「え」

ジャスティンのあまりに早い返事に、戦士達は驚いてしまった。