そして、ひかるの死体に目をやり、

「人間を守る組織が…人を殺す咎人をつくるなんて」

純一は顔をしかめた。

「…」

クラークも、ひかるの死体に目をやった。

「俺は、それが許せなかった」

ぎゅっと拳を握り締める純一に、クラークは言った。

「防衛軍は、魔王の側近と底で繋がっている。だからこそ、オウパーツを研究し…残りの部分を探す為の部署ができた」

ジェース達が育てられた組織は、防衛軍の一部署だった。

「そして、研究を重ねていく度に…人間でも、この力を扱えるかもしれない可能性を見つけた。1人の幼子を保護した時に」

「それが、ジェースですね」

「そうだ」

クラークは頷いた。

「彼は、オウパーツを身に付けて…正常でいられた唯一の人間。だからこそ、彼と同じように、幼い頃からオウパーツをつけた子供達を育成した。しかし」

そう言った後、クラークは虚空を睨んだ。

「人間は、人間の力だけで、戦わなければならない。純粋な人の力のみで!」

力強くそう言った後、クラークは自分の手を見て笑った。

「俺に言う資格はないがな」

「クラークさん…」

その件に関しては、純一は何も言えなかった。

クラークは笑い、

「だからこそ…この右足は、封印するよ」

いつのまにか、手にしていた木箱を純一に示した。

ひかるの父は…クラークに右足のオウパーツを託していたのだ。



ひかる殺害から、数年後…ジェースは組織から逃亡した。

逃亡の直前、育ての親とも言えるディアンジェロから、IDカードを渡されていた。

すぐに、組織は追っ手を出そうとしたが…それは、できなかった。

ジェース逃亡の直後、1人の訪問者が組織の扉を叩いたからだ。

その訪問者は、鉄仮面を被っていた。

「この神具は、人のものにあらず!」

その呼び掛けに呼応した三人の宿主は、組織を壊滅に追い込んだのだ。

そして、4人は…残りのオウパーツを得る為に、ジェースを追ったのである。