「ハァ…ハァ…」

どのくらい走っただろう

気付けば学校のすぐそばまで来ていた。


頭の中から消えない紫藤とあの女の姿…


「ひどい…」


間違いなく紫藤は浮気をしていた。


許せない…


だけど


この事をお母さんに言ったらどうなるだろう…?


「教えてくれてありがとう」

と笑顔で言ってくれるだろうか…


もしかしたらショックのあまり倒れてしまうかもしれない。


それくらいお母さんは紫藤を愛していた…


それに,ようやく手に入れた裕福な暮らしをこんな形で手放してもいいのか…?


悩みに悩んだ末


あたしは一つの結論にたどり着いた。


《あたしが黙ってさえいればいいんだ》