朝食を食べ終え,後片付けをしていると


「あ,そうだ。俺,今日からバイトだから帰り遅くなるかも」


「へ?バイト?」


そ…そんなにお金に困ってるの?


大学までは学費や生活費は親が全額払ってくれているって言ってたはずなのに…

あたしがいるから余計な出費がかかるのかな?


「ご,ごめんなさい…」


「は?何が?」


「いや…あたしのせいでお金足りないからバイトするんでしょ?」


諒は少し黙ってからプッと吹き出し,いきなり笑い始めた。


「ばーか,ちげえよ!先輩から頼まれて,少しの間だけ手伝うことになったんだよ」


先輩の頼み?


「どこで働くのー?」


「…別に普通の飲食店」


「どこお店ー?」


「言ったらお前,絶対見に来そうだから言わねー」


諒は意地悪な笑みを浮かべながら,そのままマンションを出て行った。


「ちょっと諒!」


普通の飲食店って…


一体どこだろ?!


「…気になるなぁ」