そんなこんなで始まった諒との共同生活。


あたし的には諒の両親にだけは事情を説明して,許可を得たうえでここに置いてもらいたかったのだが…諒はそれを強く拒んだ。


「お前の存在がバレたら,あいつらは絶対,お前を警察につきだす。そういう大人だ…」


諒は今の両親と仲が悪いらしく,信用すらしていない様子だった。


そんな諒を見ていたら,正直に事情を説明するにはいかず,あたしはバレないようにひっそりと生活していた。


だけど,あたしが諒の両親と鉢合わせする危険はほぼなかった。


諒の両親は仕事が忙しいときは会社が経営しているビジネスホテルに泊まることが多いらしい。


そのおかげであたしはちゃんとお風呂にも入れるし,食事だって普通に摂れた。


ただ,「外には出るな」と諒からは強く注意されている。


事件から3日経った今でも,毎日のように流れるあたしのニュース。


遺体なんか見つかるわけないのに,必死に海を捜査する警察。


そして読み上げられるおじさんの遺書。


世間はこの事件が解決したと思い込んでいる…



みんな…何にも分かってない…



あたしはここにいるのに