「あー食った食った」


諒の両親は夜になっても帰って来なかった。


「別にいつものことだし,気にすんな」


諒はそう言うけど,こんな広い家に一人なんて,やっぱり寂しいよ。


あたしは家に帰ればお母さんがいたけど…諒のお母さんも共働きだから帰りは遅いらしい。


「ここのピザ美味いだろ」

「はい,すごく美味しいです」


お腹の空いていたあたしはつい,たくさん食べすぎてしまった。


「す,すみません。お兄さんの分まで食べちゃって…」


「ばーか。ガキがなに遠慮してんだよ。ほら,食えよ」


このときは諒があたしを子供扱いすることに抵抗なんて全然なかった。


むしろ,あたしを妹みたいに思ってくれて嬉しかった。


すぐにあたしはおじさんとここを離れることになるけど,いつかこの事件が収まったらまた諒と会いたいな


そんなことを思いながら深い眠りについた。