「おい親父,何の冗談だよ?いきなりそのガキを守れとか意味分かんねぇし。一体どういう…」


プルルルルルル


おじさんの携帯が鳴った


おじさんは「ちょっとごめん」と言って,電話に出た。


「もしもし…


ああ…ちゃんと始末したさ。


小さな子供を殺すなんて後味悪いけどな…


あ…いや,拳銃は使わなかった。


子供は眠ったまま海に放り込んだよ。


血を浴びるのが嫌だったからね。


ああ…

あれじゃ,まず助からないだろう…


遺体を引き上げるのは難しいがな。


これで良かったんだろ?」


おじさんは紫藤に「あたしを殺した」という嘘の話を聞かせている。


どういうつもり?


あたしはまだ生きているのに。


「…分かった。

今から行くよ」


ピッ


そう言ったあと,おじさんは電話を切った。


あたしは会話に出てきた子供が自分だと分かっていたからいいものの…


「お…親父…子供を殺したのか?!」


何も知らない諒はおじさんに掴みかかった。


「諒,やめろ!俺は人を殺してなんかいない」


「嘘つけ!!今の電話で言ってだろ!!子供を眠ったまま海に…」


「だから全部作り話だよ。子供は…穣吏ちゃんはここにいるだろ」


「えっ?」


諒と目が合う



ようやく理解したのか,諒はおじさんを掴んでいた手をパッと離した。


「なにが…どうなってんだよ…」