紫藤の命令…?


バッ!!


あたしが動揺しているうちに,おじさんがあたしから拳銃を奪い返した。


「この拳銃も紫藤から渡されたものだ。君に殺害現場を見られてしまった紫藤は口封じのために君を殺そうとしているんだ…」


殺害…現場…


そうだ


お母さんはアイツに…紫藤に殺されたんだ…


あたしの目の前で…


「紫藤はどこにいるの?!」

「分からない。だけど,私に拳銃を渡したあと,彼はまた連絡すると言って,姿を消したんだ」


「じゃぁあたしは…これからどうすればいいの?おじさんに殺されずに済んでも,口封じのためにあの人(紫藤)は絶対あたしを殺しにくるよね?」


「それは…」



そのとき


ピンポーン


(誰!?まさか紫藤?)


おじさんもかなり慌てている。


「隠れていなさい」


「うん…」


あたしは部屋の奥に隠れた。


高鳴る心拍数


おじさんがドアの覗き穴を覗こうとした瞬間


ドンドン!!


「親父,いるんだろ?早く開けてくれよ」


若い男の人の声がした。


その声を聞いた瞬間,おじさんは


「り,諒!?」


急いでドアを開けた。


「よぉ,久しぶり」


現れたのは学生服を着た,冷たい目をした少年。


和泉 諒 (イズミ リョウ)



これがあたしの運命の出逢いだなんて,このときはまだ知るよしもなかった。