「は…離して!!早く救急車呼ばなきゃ…お母さんが…」

あたしは紫藤を睨み付けた。

「無駄だ」


まるで他人事のように紫藤は冷たく言い放った。


「なんで…どうして?どうしてこんなことに…」


「仕事の途中で家に携帯を忘れたことに気付いて取り戻ったら,百合が私の携帯を握りしめながら,浮気を問い詰めてきたんだよ。おそらく私の携帯のメモリーでも見たんだろう」


紫藤は悪びれた様子もなく,淡々と話す。


信じられない…


「お母さんは何も悪くないっ!!悪いのは全部…浮気をしていたお父さんじゃない…!!

人殺し!!人殺し!!」


「黙れ!!」


バサッ


次の瞬間,紫藤はあたしの口にハンカチを押さえつけてきた!!