あたしはドアを開け,慌てて中に入った。


すると


「ひどいっ!!ずっと私を騙していたのねっ!!」


リビングからお母さんの叫び声が聞こえてきた。


(お母さん…どうしたの?)


あたしは靴を脱ぎ,恐る恐るリビングへ向かう。


気付かれないように少しだけ顔を出し,リビングの様子を覗いてみると


(うわ…)


床にはゴナゴナに割れた花瓶や雑誌が散乱していて,その中にお母さんがすごい形相をして立っている。


そしてお母さんの先には無表情の紫藤の姿もあった。


「ずっと信じてたのに…全部嘘だったのね…」


お母さんの手には紫藤の携帯が握られていた。


まさか…


浮気がバレた…?