「蓮っ…うぅ…」

誰か女の人が僕に抱きついた。
泣いている。

「だっ…」

僕が誰と言おうとした瞬間
僕の父が僕の口をふさいだ。
言ってはいけないんだ。
父の目を見た時そう分かった。

「美奈、蓮はもう大丈夫だよ」

「悟…蓮…よかった。本当によかった。
蓮早く舞子ちゃんに会いに行かなきゃ…
舞子ちゃん蓮のことずっと自分の…
自分のせいだと思ってる。
蓮が起きなかった3ヶ月間
みんなが何を言っても自分を責めてたわ。
早く会いに行ってあげて。
舞子ちゃん、蓮が起きること
どれだけ待ってたか…。
あんなにやせ細ちゃって…
蓮…大切にするのよ。
もう離れちゃいけないわ。」

「舞子…僕の大切な人なんだ。
覚えてた。少しなら…
今どこにいる?
でも僕全部忘れちゃったよ。
何もかも…」

「蓮大丈夫だ。
舞子ちゃんのこと…
覚えてたのか…
何にも覚えていないのかと…
美奈は蓮、君の母さんだ。
少しずつでいい
思い出せ。
もうみんなを悲しませるんじゃないよ。
この3ヶ月間みんなが蓮のために泣いた。
今日までみんながどれだけ
悲しい思いをしていたかが
今日分かるはずだ。
舞子ちゃんのところまで
送るよついてきてくれ。」