あたしたちは近くの喫茶店に入った。しかし、さっきから彼はコーヒーを飲みながら外を見るだけで、物憂げな表情を浮かべている。

 傾きかけた太陽の光に包まれるように物憂げな表情を浮かべている彼の表情は綺麗だが、それは遠くから見たときに話だった。

 そんな暗い顔を浮かべて、本当はあたしと同じ時間を過ごしたくなかったのではないかと思ったのだ。

「尚志さん」

 彼の視線があたしに向けられる。

 彼は目を細めていた。

「何?」

「あの」

 あたしといるのはつまらないですか?

 さすがにストレートすぎる。それは却下だ。

 いい天気ですねとか言うのはわざとらしい。