彼が差し出したのは小さな紙袋だった。

 そこから掌サイズの小箱を取り出す。

 それをあたしに渡す。

 あたしがそれを確認すると、そこには白く、それでいて透明なものが輝きを放っていた。

 それは永遠の愛の誓いをあらわすものとしてよく使われると聞く。

「そういえば、結婚指輪も婚約指輪もあげてないって気づいてさ」

「いろいろ突然だったからね」

 怒る人もいるかもしれないけれど、あたしもすっかり忘れていた。

 別に形で何かをもらわなくても、幸せだったから。

 それを指に填めるとサイズはぴったりだった。

 あたしの指には尚志さんからもらった永遠の誓いが輝いていた。

 その輝きが永遠に続けばいい。

 大好きなあなたへの想いとともに。

 あたしは尚志さんの手のぬくもりを感じながらそう強く願っていた。

                               

                     〈終〉