「美咲にしては地味じゃない? 眼鏡もかけているし」

「そうだね」

 そんな感じで彼女たちは納得したのだろう。

 そのとき、あたしの前に大きな影が現れた。

 彼の手には本屋の袋が握られている。

 本屋に用事があったのだろうか。

「大丈夫だった?」

 彼女たちの話し声が聞こえたのだろう。

 あたしは頷く。

「帰ろうか」

 そんな感じで何度か誰かに声をかけられることもあった。

 でも、それを心苦しいと思いながらも肯定することができなかった。

 聞いた人は「すみません」と謝って去っていく。

 別に謝る必要もないのに。