あたしはそのことを監督におりを見て話した。

 彼は知っていると思っていた。

 やはり、母からそのことを聞いていたようだった。

 でも、彼の目じりにしわが寄った笑顔を見ていると、あたしは何とも言えない不思議な気持ちを味わっていた。

 彼にそんな笑顔を見たのは初めてだった。

 そこまで人に幸せな気持ちを味わうことの出来る関係が微笑ましかった。

 あたしは誰かにそんな笑顔を与えることができるのだろうか。

 そして、あたしは誰からそこまで幸せな気持ちをもらうことができるのだろう。

 そう考えると、答えは一つしかなかったのだ。