彼女にそう言われることはあたしにとってそれ以上ない言葉だった。

 あたしは唇を噛み締める。

 あたしが考えていたよりも多くの人に見守られている気がして嬉しかったのだ。

 その気持ちだけでもっと頑張れる。そう思ったのだ。




 千春は一時間ほど経って、木下さんから解放された尚志さんとこの場所から立ち去っていく。

 あたしが見送ろうとすると、彼女は見送らなくていいと言ってくれた。

 多分、これ以上あたしと尚志さんの関係がこじれるのを嫌ったのだろう。