それが彼女の彼に対する思いの深さなのかもしれないと思った。

 そのとき、眠っていた杉田さんの体がもぞもぞと動く。

 彼は顔を上げると、辺りを見渡した。

 そして、自分が眠ってしまっていたことに気づいたようだ。

「ごめん。つい」

 千春は首を横に振る。

「気にしないで。自分の部屋で眠るといいよ」

 杉田さんはもう一度千春に謝ると部屋を出て行った。

 あたしは扉が閉まって、千春を見た。

「一つ、聞いていい?」

「何?」

「千春って杉田さんのこと、好きだよね?」

 彼女は目を見開いたが、ゆっくりと頷いた。

「でもね、京香が康ちゃんのこと好きな気持ちは分かるし、二人がつきあうのはそれはそれで嬉しいよ。二人とも好きだから」