「でもあっさり断られたわ。まず身長も雰囲気も彼女じゃない。

彼女になりきれるならいいが無理だろうって。

それでそのうちやる気がなくなって引退ってわけ」

「でもまだ若いですよね。引退って年じゃ」

「若くないわよ。それに人生をやり直すなら少しでも早いほうがいいでしょう?」

「そうですね」

 あたしよりは年上だけど、彼女が世間的にまだ若いことは十分に分かる。

 今でも世間では若い彼女が自分は若くないといっているのを聞くと何だか寂しかった。

「でも今回あなたのマネージャーをやってみないかと言われて、そうすることにしたの。元々人付き合いも好きだったし、顔も広かったから」

 少し意外だった。彼女はあたしと極力壁を作っているように見えたからだ。