昨日は長いセリフを何度も言い切ることができずに言葉につまっていた。

 それは仕方ないとは思っていたが、さすがに今日の状態は納得いかなかった。

「一旦休憩をしてくれ」

 監督はため息混じりに呟いた。

 彼も疲れてしまったのだろう。

 彼はぐったりとした口調でそう言い放つ。

 彼女は頼まれて出るようになった子だった。

 彼女の事務所もこの映画のお金を出しているらしい。

 本当は主役で、という話だったらしいがそこは監督が折れなかったと聞いた。

 だからどんなにNGを出しても降板は難しいらしい。

 そんな彼女に与えられたのはセリフが少ないけれど、比較的画面に映る役だったのだ。

 あたしは太陽の光を手で遮った。