あたしの携帯に木下さんからメールが届く。

 ご飯ができたらしい。

 あたしを呼び寄せるのが面倒だったのだろう。

 彼女らしいといえば彼女らしいが少々淡白な人だ。

 あたしは千春を呼ぼうと彼女の部屋をノックしたが、返事はない。

 あたしは心配になってドアを開けた。

 そこには誰もいなかった。

「千春?」

 名前を呼んでも返事はない。

 彼女は部屋にいるものだと思ったが、どこにもいない。

「彼女ならさっき散歩に行きましたよ」

 下にいると思った木下さんがあたしの傍に立っていた。

「杉田さんと?」

「いえ、一人で」

「そのうち帰ってきますよね」

 あたしはご飯を食べることにした。

 千春が帰ってきたのはそれから二時間ほど後だった。