でもこの映画にはあたしが考えているより多くのお金がかかっている。

 いろいろ出資している会社もあるようだった。

 もしかすると、そんなことを気にしないような心の広い人なのかもしれない。

 でももう一つ答えはあった。

 その答えを考えて、あたしの胸が痛んだ。

 それは彼があたしの母親を愛していないということだった。

 愛していなかったら、厄介払いをしてくれた男に感謝をするだろう。

 それは考えたくなかったのかもしれない。

 母親は彼にあたしのことを言えなかった。

 彼が母親を養えなかったとも思えない。

 だから相応の理由があるのかもしれないとも思っていたのだ。

「どうかした?」

「何でもない」

 あたしならどうするだろう。

 その人との幸せを望むことができるだろうか。

 あたしには分からなかった。