それに彼女以外には見られるのは気が引けたのだ。

 あたしは何となくアルバムを見てみたくなってきた。

 人に言われたら見たくなるってことは意外とある。

 あたしは電話を切ると、アルバムを探すことにした。

 居間に置いてあるあたしのアルバムの隣に見慣れない黒のスリムタイプのアルバムがあるのに気づいた。

 あたしはなんとなく、それに触れた。

 あたしはその写真を見て、言葉を失った。

 それは母親の写真だった。彼女の姿からあたしと同じような年頃のように見えた。

 彼女は幸せそうに微笑んでいる。それだけならよかった。

 でもその傍には穏やかな表情を浮かべている、彼女よりも一回りは年上の男性の姿があったのだ。

 それが成宮秀樹だった。

 どうして二人が映っているのかは分からなかった。

 あたしは我に返るとその写真を片付けることにした。

 見てはいけないものを見てしまった。そんな気がしたのだ。