「京香は準備は終わった? 忘れ物は?」

 あたしは心配性の彼女の言葉に微笑みかける。

「大丈夫だよ」

 あとは明日成宮監督が迎えに来る。

 それで一緒に行けばいい。

 毎週末は千春が来るし、杉田さんも来る。

「本でも持っていったほうがいいかもね。暇だし。というか、千春のアルバムが見たい」

「アルバム?」

 あたしは思いきり変な声を出した。

「子供のときの千春の写真を見せてよ。事務所まで見に行くから」

「そんなの家に来たらいいじゃない」

 そんなものを杉田さんや成宮監督に見られたらどうするのだろう。

「だって明後日には家を出るし」

「いいでしょう?」

「考えておく」

 あたしも千春の家族の写真を見たことがあるわけだし、彼女が見たいというなら見せてもよかった。