千春も大学が休みの日にはちょくちょく来ると言っていた。

 もしかするとあたしだけ一足早く現地に入ることは千春が気を使ってくれたのかもしれない。

 ここで過ごすのはあまりに辛いからだった。

 彼と一緒に歩いた道を歩くだけで彼のことを思い出してしまう。

 あの冷めた瞳を忘れることができなかった。

 冷たい視線を投げかけたのが彼でなかったらあたしはそこまで堪えなかった。

 でも彼だからあたしの心を苦しめていた。