「はい」

 あたしは見知らぬ人の登場に緊張していた。

「あなたが美咲さんね。これからよろしくね」

 あたしは彼女と握手をした。

 彼女はあたしに細かいことをいろいろ指摘してきたが、親のことなどプライベートなことをあまり聞いてこなかった。

 一通り監督から聞いていたのかもしれないし、あまり仕事に関係のない話をするのが好きではないのかもしれない。

 でも、あたしにはそれくらいのほうが正直心地よかった。





 高校卒業後、千春と弘が同じ大学に合格したことを聞いた。


 二人とも嬉しそうで、受験をしていないあたしまでうれしくなってきてしまったからだ。